2016年3月23日水曜日

技術は陳腐化する。故に常に挑む必要がある。

STAPの事件については、マスコミや社会の反応に憤りを感じていました。
あれほど大騒ぎするようなことだったのでしょうか。
STAPを発表した当事者の科学者は、今は逼塞しているように思います。
科学者生命を絶たれた、と言っても良いかもしれません、少なくとも日本では。
当時、だまされた、とかいうようなコメントを見かけました。そういう印象を持っている人が多かったように思います。
私の身の回りにも、そういう人が多数いました。

新しい科学や技術というのは、初めから効果や仕組みがわかっているものはそれほど多くありません。
また、その技術にいたる道筋に、いくつもの試行錯誤があり、科学者自身にも多くの誤解があります。
私は生物系についてあまり理解や知識は持ち合わせていませんが、STAPそのものにはその可能性を感じました。
といっても、話を聞いて「それ、ありえるかも」といった程度のものです。
だから、その後の論文ミスとか、検証が出来なかったということに残念な思いはありますが、「よくあること」という気持ちの方が大きかったです。
果たして、あの事件で誰が損をしたのでしょうか。誰かが何かを失ったんですかね?面目?
そんなことで、いち科学者の将来を無くしてしまうのは非常にもったいないと思います。

新しいことを生み出す、発見するというのは、大変な作業です。
たとえば、中国がよくパクリをすると、日本人は嘲る事が多いですが、あれもどうなんでしょう。
日本人もかつてはパクリ天国でした。古くは火縄銃から始まり、蒸気機関、飛行機やラジオ、TVなど初めはパクリでした。
かつて、70~80年代の日本人は物まねがうまいといわれ、今ですら、工業製品の品質を上げることや、信頼性を上げるげることに関して日本人は優れた技術を持っているが、新しいカテゴリーの商品を生み出すのが下手、と言われています。
これって、パクリの延長って事ですよね?
日本の家電メーカーの今の状況は、パクリではない新しい商品を生み出すことができなかったからではないでしょうか?
(市場が求めているものを探る能力や、新しい価値観(楽しみ)を生み出すこと、それを伝えるコミュニケーションも、下手と言うこともあります。)

日本人以上に面子を大事にする中国人は、日本人のあざけりに対して、恐らく相当苦々しく思っているはずです。「今に見ていろ」と。
かつての日本人がそうであった様に。
パクリをするのは仕方なくやっていると思った方が良いです。(無論、一部は楽して金が稼げると、嬉々としてパクっているかもしれませんが。)
そして、「地道に」技術を真似ることで盗み、更なる改善はどうすべきかと、自分達の技術の引き出しを増やしている最中のはずです。
日本人のあざけりは、日本に追いつけ追い越せの推進剤になっているかもしれませんが、そうだとしたら悲しいことです。

先週終わった中国の全人代(全国人民代表大会)で、日本の炊飯器が話題になったそうです。
中国の全人代(=国会)で、日本製「炊飯器」がキーワードに浮上。約3000人が出席している代表の一人で急成長している携帯電話機メーカー、小米科技(シャオミ)創業者の雷軍会長が全人代の分科会会議で日本製炊飯器について、「米粒が踊っている。中国メーカーには作れない」と発言したことがきっかけだ。


全人代では5日の開幕式で「政府活動報告」を読み上げた李克強首相が、「中国の消費財の品質を高める必要がある。あくなき進歩を追求する職人を育て、製品を増やし、品質を向上させて、ブランドを創造しなければならない」などと強調した。
確かに日本の炊飯器は手がこんでいて優れていますが、いずれ中国人の手によって中国人に最も適した炊飯器が出来るのも時間の問題です。
お米の消費が年々下がっている国で優れた炊飯器なんて、滑稽です。
技術力の日本なんて言って胡坐をかいていればいつかは追い越されます。技術は時と共に陳腐化するものです。
新しいと勘違いした誤解や、新しいことに挑んだ経過でのミスなどに目くじらを立てて抹殺するような国の将来は危ういと感じます。
また、この件で叩かれた技術者もへこたれずに再起して欲しいです。

このようにつらつら考えると、ドクター中松って本当にすごい人ですね。


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